シャンナ・スウェンドソン『偽プリンセスと糸車の呪い』の感想


2023年6月3日

偽プリンセスと糸車の呪い

【本の詳細】Bokshelf: 偽プリンセスと糸車の呪い

先日、シャンナ・スウェンドソンの『偽プリンセスと糸車の呪い』を読みました。

この著者の(株)魔法製作所シリーズはすべて読みましたし、フェアリーテイルシリーズも読んだことがあるので、この本も読んでみました。

この作品は、今までのシリーズとは違い、主人公が高校生、そして舞台はおとぎ話の世界です。

しかし、本作も現実とファンタジーが上手くブレンドされていました。

あらすじ

連れ去られた先は物語の世界!? 16歳の誕生日に騎馬の男たちにさらわれたルーシー どうやらプリンセスと間違えられたらしいが・・・・・・ 〈㈱魔法製作所〉シリーズの著者のロマンチック・ファンタジイ

今日はルーシーと親友のドーンの16歳の誕生日。ずっと一緒に祝ってきたのに、今年に限ってドーンは育ての親である三人のおばさんに、誕生日に家から出ることを禁止されたのだ。誕生日だというのにドーンとも会えずさえないルーシーは、ひとりで歩いているとき、奇妙な騎馬の男たちに拉致される。巨大な光る門を通って着いたのは、まるでおとぎ話の世界だった……。 〈(株)魔法製作所〉の著者が贈る、ロマンチックなファンタジイ。

感想

おとぎ話の世界

この作品の舞台はさまざまなおとぎ話が現実になっている世界ですが、メインのおとぎ話はタイトルにもなっている、糸車の針で指を刺して眠りにつくおとぎ話、『眠れる森の美女』です。
しかし、それ以外にも『三匹のやぎとトロール』などのおとぎ話がモチーフになっているエピソードが出てきます。

おとぎ話がモチーフになった作品というと、小林泰三の『アリス殺し』や未読ですが青柳碧人の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』などが浮かびます。また、NHKの『昔話法廷』もありました。

しかし、本作品はおとぎ話を攻略のための情報として利用します。 小さいころに読んだり読んでもらったりしたようなおとぎ話をメタ的に武器にするのがおもしろいと思いました。

ある意味、なろうで人気の悪役令嬢転生ものに通じる部分があるかもしれません。

「普通」な主人公

この作品の主人公ルーシーは、普通の高校生です。そして、親友が実はおとぎ話の国の住人「プリンセス」なのです。

普通を謳いながらやたら能力が高い主人公もいたりしますが、ルーシーはかなり「普通」です。さまざまな出来事が起こりますが、そのたびに妥当に思える行動や考え方をします。

そのため、ルーシーの視点で無理なく物語を楽しむことができると思います。

まとめ

おとぎ話をスウェンドソンの世界観に上手く組み込んでいると思いました。

また、普通の現代人である主人公が、多くの人が持っているようなおとぎ話の情報と、現代的な考え方を武器に冒険していくところがおもしろかったです。

ただ、ぼくは(株)魔法製作所シリーズのほうが好きでした。