2023年に読んだ本


2023年6月8日 ( 2023年6月10日)

2023年に読んだ本をまとめました。

1. 『第二阿房列車』内田百閒

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ただ列車に乗るためだけに旅をする。汽車に乗ったら酒を飲み、汽車から降りても酒を飲む。同じようなことをどこに行ってもしていますが、なぜかするすると読んでしまうおもしろい作品です。
昔の鉄道旅や各地の情景が浮かび、鉄道で旅をしたくなります。

2. 『松田聖子の誕生』若松宗雄

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1980年代を代表するアイドルである松田聖子について、どのようにデビューし、活躍していったのかがプロデューサーの視点から書かれていて、興味深かったです。

3. 『ここで死神から残念なお知らせです。』榎田ユウリ

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最後にどんでん返しがあり、おもしろかったです。死神が実は良い人でしたみたいな展開にならず、死は突然、無慈悲に訪れるということを貫いているところが良いと思いました。
ただ、死神ものならば伊坂幸太郎の『死神の精度』のほうが好きです。

4. 『死神もたまには間違えるものです。』 榎田ユウリ

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『ここで死神から残念なお知らせです。』の続編です。前作に引き続き、死神はやっぱり無慈悲で、人間の倫理観の外にいます。
天使と死神、正反対のようでいて似たようなもの。おもしろかったです。

5. 『ところで死神は何処から来たのでしょう?』榎田ユウリ

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『死神もたまには間違えるものです。』の続編です。今作は、死神の正体についての話です。正体が判明した後の死神の選択、最後のどんでん返しがおもしろかったです。

6. 『美しい彼』凪良ゆう

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あとがきに著者本人が書いているように、平良が気持ち悪い。ただ、平良の感覚がなんとなくわかる気がして少し嫌だ。
小説全体としては読みやすくおもしろかったです。

7. 『悩ましい彼 美しい彼2』凪良ゆう

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平良の気持ち悪さがエスカレートしています。「ニュースタイルの関白宣言」けっこう好きな表現です。平良の行動をよく表していると思います。

8. 『憎らしい彼 美しい彼3』凪良ゆう

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平良のネガティブなオレ様がさらに進化していておもしろいです。

9. 『interlude 美しい彼番外編集』凪良ゆう

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コメディが強い気がします。清居が平良を好きになった理由や「きも殿下」というあだ名が付けられた経緯などが明らかになります。

10. 『【新装版】小室直樹の中国原論』小室直樹

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【新装版】危機の構造 日本社会崩壊のモデルも読みましたが、やっぱり小室直樹はすごいと思います。中国人についてよく聞く、初めは全然受け入れられないが仲良くなるとものすごく厚遇されるというようなことが、科学的に分析されています。中国と西洋の「法」に対する意識の違いなどは、おもしろく、納得できました。

11. 『特等添乗員αの難事件 VI』松岡圭祐

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特等添乗員αシリーズの第6作です。松岡圭祐のシリーズのなかで一番好きなのがこの特等添乗員αシリーズです。今作では、ソウルが舞台となり、K-POPが題材となっています。 時事的な話題・問題も取り入れつつ、いつものように絢奈がさまざまなトラブルを解決していきます。ツアー旅行は参加したいと思わないのですが、こんな添乗員がいるツアーならば参加してみたくなります。

12. 『学校では教えない「社会人のための現代史」 池上彰教授の東工大講義 国際篇』池上彰

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わかりやすいニュース解説で人気の池上彰が東工大でした現代史の講義の内容をまとめた本です。
現代史の知識は現在のニュースを理解するのに重要だと思います。細かい話は出てきませんが、基礎知識や知識を得るきっかけとしてこの本は良いと思います。

13. 『数学物語』矢野健太郎

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1936年に小山書店から出版された數學物語の新装改訂版です。少し表現に古臭いところもありますが、80年以上前に書かれた本であり、超ロングセラーとなっています。数学の歴史を分かりやすく説明してあるので、数学は嫌いだが歴史は好きという人に数学に対する興味を持たせるのに良いと思います。

14. 『吉本隆明という「共同幻想」』呉智英

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吉本隆明という名前は聞いたことがあるし、共同幻想論という本もほんの少しだけ読んだことがあります。しかし、共同幻想論は数ページでよくわからなくなりました。なので、この本を読んでみました。安保闘争に参加していたような1960年代当時の若者が、吉本隆明の本、そして吉本隆明というアイコンに熱狂し共同幻想を抱いていたということがなんとなくわかりました。

15. 『楽園とは探偵の不在なり』 斜線堂有紀

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人を2人以上殺すと"天使"によって即座に地獄に引きずり込まれる世界の、絶海の孤島で連続殺人が起こります。2人以上は殺せないはずなのになぜ連続殺人が実行できるのか。絶海の孤島にある館という設定は綾辻行人の十角館の殺人を思い出させます。本格ミステリー好きならば読むべきだと思います。
天使が完全なる善となっていないところが好きです。

16. 『絶叫城殺事件』有栖川有栖

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作家アリスシーズの短編集です。「絶叫城」「黒鳥亭」「壺中庵」「月宮殿」「雪華楼」「紅雨荘」という6つの館?が象徴的な事件に火村とアリスが挑みます。華麗なトリックやすごいどんでん返しはありませんが、落ち着いて読めるいつも通りの作家アリスシリーズという印象です。

17. 『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』太田紫織

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骨が題材のライトミステリーです。骨がテーマのミステリーといえばキャシー・ライクスのテンペランス・ブレナンシリーズやドラマ化したBONESシリーズ、日本では2時間サスペンスの人類学者・岬久美子の殺人鑑定シリーズなどが思い浮かびますが、この小説はもっとライトな印象です。骨が大好きなお嬢様である九条櫻子が、語り手である館脇正太郎を引き連れ、殺人事件の謎を解いていきます。櫻子さんが自分で車を運転して出かけるところや、新車に乗っている理由が死体を運んだせいという設定が好きです。このシリーズはもっと読みたいと思いました。

18. 『超ロジカル思考: 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング』高野研一

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最初に出てくる為替ディーラーの話には、なるほどと思いました。この本では、Googleの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、ソフトバンクの孫正義、Appleのスティーブ・ジョブズ、Amazonのジェフ・ベゾス、マーケティングのフィリップ・コトラー、セブン-イレブンの鈴木敏文が取り上げられ、彼らの成功要因としてモノの見方を意識して変えられたことだと書かれています。
モノの見方を変えるための方法が解説されていて、参考になると思います。

19. 『旅に出ろ!―ヴァガボンディング・ガイド』ロルフ・ポッツ

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放浪の指南書です。旅に出ないといけないという気分にさせます。

20. 『東大白熱ゼミ 国際政治の授業』小原雅博

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国際政治について4人の学生と教授によるゼミ形式で分かりやすく解説しています。しかし、政治に正解はなく、読んで知識を得たうえで、どの選択肢がベターなのか自分で考える必要があると思います。

21. 『一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教』内田樹・中田考

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自分にはあまり馴染みのない宗教である、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教について書かれていて興味深かったです。入門的な解説書というよりは一応それぞれの宗教についてざっくりとは知っている人向けの、内田・中田両氏の意見が述べられた対談という印象です。とくにイスラム教に関してはそういう見方もあるのかという発見がありました。

22. 『ブランド 価値の創造』石井淳蔵

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ブランドとは何かということが分かりやすく解説されています。現代において「ブランド」という言葉はよく使われますが、それが実際に何を指し、経済的にどのような意味を持つのかということはあまり理解されていないのではないかと思います。この本を読み、ブランドとは何なのかを考えるきっかけになりました。

23. 『怪しい戦国史』本郷和人

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この本の内容を鵜呑みにはできませんが、一説としておもしろかったです。また、歴史の定説であってもきちんと疑うことは大切だと感じました。

24. 『池上彰の18歳からの教養講座 ―現代世界を知るために』池上彰

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現代のニュースを理解するための基礎知識となる現代史を分かりやすく解説しています。タイトルに"18歳からの"とある通り、ある程度知識がある人には少し簡単すぎるかもしれませんが、最初の入門書としては良いと思います。成人である18歳には必須知識であり、中学生から高校生くらいが読むのにちょうどよいのではないでしょうか。

25. 『岸田ビジョン 分断から協調へ』岸田文雄

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現在の首相である岸田文雄の書いた本です。途中になっていたのを読み切りました。何を言いたいのか、やりたいのかよくわかりませんでした。よくいる世襲政治家ではないということを主張したいのだということだけがよく伝わってきました。

26. 『もっと2分間ミステリ』ドナルド・J・ソボル

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『2分間ミステリ』の続編です。前作と同様に2分ほどで解ける簡単な謎解きクイズがたくさん載っています。すぐにわかるものもあれば、しばらく考えなければわからないものもあります。また、少しですが文化の違いによりわからないものもあります。謎解きはおもしろく、頭の体操に良いと思います。

27. 『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』河合雅司

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少子高齢化・人口減少で実際に何が起きるのかを分かりやすく解説してあります。高齢化に伴い、男女の寿命の差によって男性の人口よりも女性の人口のほうがかなり多くなるといったことなど、考えてみれば当たり前だがあまり目立たない少子高齢化の影響について触れられていて、これからの日本を想像する一助になると思います。

10. 『バカの壁』養老孟司

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現代にはびこる欺瞞を鋭く衝いている本です。450万部を突破した平成で1番売れた新書だと帯に書かれていますが、単純計算で学校の1クラスに1人は買っているということですから、すごいと思います。

28. 『武士の家計簿』磯田道史

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幕末の頃の武士がどのような生活を送っていたのかがよくわかる本です。互いにお金を融通するために同じくらいの身分同士の婚姻が推奨されたなど、当時の生活や考え方について新しいことを知りました。

29. 『大前研一 世界の潮流2020~21』大前研一

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読みかけで放置していたのを読み切りました。大前氏の意見に完全に同意することはできませんが、自分とは違う見方を知るという点や知らなかったニュース・忘れていたニュースを知ることができるという点で良いと思います。

30. 『世界最大の気象情報会社になった日』石橋博良

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ウェザーニューズの創業者がウェザーニューズについて書いた本です。そもそもウェザーニューズが世界最大の民間気象情報会社だったということが驚きでした。また、この本を読むとウェザーニューズは規制の隙間でさまざまな事業をクリエイティブに創り出してきたまさにベンチャー企業であったということがわかります。

31. 『AI(人工知能)まるわかり』古明地正俊・長谷佳明

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読みかけで放置していたのを読み切りました。AIについて簡単に解説した本です。最近はChat GPTやBing AI、Google BardなどAIの話題が多くなっているので、AIについて少し詳しく知りたいという人には良いと思います。

32. 『世界史をつくった最強の三〇〇人』小前亮

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著者の"こいつが主人公の小説を書きたい!"という基準で選ばれているので、マイナーな人も出てきておもしろいです。また、解説も軽い感じです。歴史の勉強というよりもこんな人が昔いたんだよという豆知識・雑学のように読めます。

33. 『プリンシプルのない日本』白洲次郎

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白洲次郎という名前は知っていましたが、どのようなことをした人だったのかは、はじめて知りました。このエッセーで書かれていることはかなり現代の日本人にも当てはまると思います。